2011年10月7日金曜日

爬虫類の錐体について

本来哺乳類と爬虫類との共通祖先は、4 色覚 (つまり 4 原色が見える) であったが、中生代あたりに哺乳類が夜行性であったころにそのうち 2 つまでも失なってしまい、今は大抵の哺乳類は 2 色覚である。その中でも霊長類の一部などは "赤" を見る錐体が変異して "緑" を見ることが出来るようになったが、これはまあ 2.5 色覚というところだろうか。でも爬虫類や、恐竜から進化した鳥類は地上で覇権を誇っていたので先祖のまま 4 色覚を持っている。このへんまでは誰でも知っている話。
じゃあ爬虫類の 4 色覚ってのはどのへんの色が見えるんだろう。緑と赤が補色になっているように青と黄色で 4 色覚?

調べてみると赤、緑、青、紫外が見えているらしい (-> http://www.jinrui.ib.k.u-tokyo.ac.jp/kawamura/studyBackground.html)。じゃあ哺乳類は、というと赤、紫外である。見えないから紫 "外" 線なんじゃないの?って気がするが、視物質ベースの話なので齟齬があるのかもしれない。
波長的にはどのへんなんだ?というと 脊椎動物のオプシン にあった。波長の長いほうから 赤 LWS (550-500nm)、緑 RH2 (500-460nm)、青 SWS2 (460-420nm)、紫外 SWS1 (425-350nm) ってところである。人間には LWS と SWS1 しかないので、両端にしか感度がない。対して爬虫類鳥類は滑らかに繋がっている。
ちなみになんで 2 つなのに 3 原色なのかというと、SWS1 が 564nm と 534nm の 2 つに分化しており、これを便宜的に赤と緑として使っているからだ。桿体 (RH1) の感度は 500-470nm あたりにあり、本来の緑 RH2 (500-460nm) と同じ領域だ (人間の緑はもっと赤っぽい)。これは太陽光のエネルギーが最大になるところとも一致する。


 私は赤緑色盲なので赤か緑が見えにくいわけだが、見えにくいのは赤なのか緑なのか。この違いはそれぞれ第1色盲、第2色盲と区別されている... が、ほどんと判別は付かないようだ。前リンクの次ページに、電光掲示板の赤と緑の文字は、第2色盲の人にはほとんど同じ色に見えるが、第1色盲の人にはほぼ同系色で赤だけが暗く沈んで見える。とあることから判断すると... 第2かね?

 両者を識別するにはアノマロスコープというものを使う。赤緑の光を混合させて、基準となる黄色と同じ見え方になった時、第1なら感度の低い赤の錐体を補うために赤を強く、第2なら同じく緑を強く調整しているはず、という原理だ。なるほど。
この程度なら PC で作れるんじゃね?と思って gimp を起動して... 無理だよなあ。モニターで黄色を出す時はどうやる?LED には RGB のダイオードしかないので、Red と Green とを混合させて合成するしかない。CRT だって RGB の蛍光物質しかないわけで、やはり同じ。そうやって作った黄色、例えば Red 200 + Green 200、と同じになるように調整すると... 当然 Red200+Green200 になるよな。だってどっちも同じやりかたで作った色なんだから。色覚なんか関係ない。
アノマロスコープでは光源にナトリウム光 589nm (黄)、リチウム光 670nm (赤)、水銀光 535nm (緑) を使っているそうだ。それなら意味のある結果がでるよな、きっと。